鹿を追い上げる猟師の声が山のほうから聞こえてくる。
ダン、ダン、ダーン。重苦しい銃声が3発響いた。
「あの親子の鹿たちは、無事に山にもどったかな」
チラとそんな思いがかすめる。
そのとき携帯が鳴った。友人からだ。知り合いの有機農家の畑が鹿にやられて全滅とのこと。獣害防止の柵はしていたが少し低かったので、鹿はジャンプして入ったらしい。
うちの柵も道沿いで斜面の下になっているところがあるので、心配になってきた。
猟師の軽トラが通り過ぎる。
「小父さん、3つ殺ったでー」
「そら良かったなー」
反射的に答える私であった。
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